スコープ販促創造研究所

-価格に振り回されず、知恵を絞る生活者- 物価高でも顧客を引き寄せる!効果的な販売戦略のヒントとは?

-価格に振り回されず、知恵を絞る生活者- 物価高でも顧客を引き寄せる!効果的な販売戦略のヒントとは?

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モノの値上げが続いています。実質賃金指数も連続的なマイナスを記録し、日々の生活の厳しさは増すばかりです。そこで、2023年10月27日~29日の3日間、20代から60代の男女500人を対象に、最新の買い物意識や行動についてオンライン調査を実施しました。生活者がどのように工夫しながら物価上昇に対処しようとしているのかを明らかにし、さらには商品やサービスを提供する側の政策等に関するヒントも探っていきたいと思います。

■物価高の波に立ち向かう各世代の対応 。 20代女性の未来志向の消費対策と50代以上の経済的挑戦

<Q. あなたが普段お買い物をする際、現在の物価に対するお気持ちについて、以下の選択肢より最も当てはまるものを1つお選びください。>N=500 *20代~60代 合計、年代別スコア

物価の上昇は多くの人々の生活に深く影響を及ぼしています。最近の調査では、全体の約83%の人々が物価高を実感しており、この数字からは、男女問わず多くの人々が日々の生活の中で経済的な変化を感じ取っていることが窺えます。

年齢層を見ると、50代以上の方々は物価の高さをより敏感に感じているようです。これは、生活費や教育費、健康管理など、家庭でのさまざまな支出が増加していることと関連しているのかもしれません。この世代の方々は、日々の支出を慎重に見直し、価格に敏感な消費へと傾向が変わってきているようです。また、60代以上の方々では、年金や貯金に対する依存度が高まっていることから、物価の上昇を特に心配しています。

それに対し、20代女性は物価高を感じる割合が62%と他の年代に比べてやや低めですが、これは親との同居による経済的な負担の軽減が影響していると考えられます。一方で、口コミ・レビューなどネットを通じてコスパを意識した買い物をする習慣もあり、無駄遣いを避け、必要なものにのみお金を使うなど、普段から実用的な消費行動を取り入れていることも背景のひとつにあるのではないでしょうか。

■物価高感が映す、世代ごとの食卓模様

<Q. 以下の商品カテゴリーの中で、あなたが普段のお買い物で特に物価高を感じるものをそれぞれ最大3つまで選んでください。>N=500 *20代~60代 合計、年代別スコア

*項目一部ピックアップ

物価の上昇は食生活にも影響を及ぼしています。特に、「生鮮果物・野菜」「たまご」「肉」など、基本的なメニューに不可欠なアイテムの価格上昇が日常生活に大きく影響しています。これらの食品価格の高騰が各世代の食卓に直接的な変化をもたらしています。

60代では「魚・海産物」の価格高騰を特に強く感じており、この世代が普段から魚や海産物を積極的に取り入れていることが影響しているようです。価格の上昇が続けば、健康的な食生活の維持が困難になり、社会全体の「健康寿命の延伸」という目標にも影響を与える可能性があります。

40代と50代の女性は「調味料」の価格上昇を感じており、これは家庭料理におけるコスト意識の高まりを示しています。この世代は自炊する方が多いため、調味料のコストを抑えつつ、料理の楽しみを保つ工夫を求めています。例えば、家にある安価な調味料を使った自家製ブレンドを作るなどのアイデアが得られれば、経済的でありながらも料理への創造性と楽しさが増すのではないでしょうか。

また、20代女性では全体的な現在の物価高に対する感じ方と同様で、「あてはまるものはない」と回答する割合が42%と他の年代と比較して高くなっています。

■ポイント活用から環境に配慮した選択まで、買い物の工夫で物価上昇に立ち向かう生活者

<Q. 以下の選択肢のうち、あなたが普段お買い物をする際、意識して行っていることとして当てはまるものをすべてお選びください。>N=500 *20代~60代 合計スコア

*項目一部ピックアップ

物価高の状況下で、生活者は単に節約するだけでなく、価格の安い店舗を見つけたり、賞味期限が近い商品を選ぶなど、価格の変動に対して敏感になり、同時に予算をしっかりと管理し無駄遣いを避けるようになっています。このように足と知恵を駆使し、日々の支出をより慎重に計画し、賢く節約していることがわかります。

また、ポイントやクーポンの利用は、物価高に対する生活者の積極的な手段の一つとなっています。特に熟年層では、これらのサービスを利用して日々の支出を効果的に抑えようとしており、経済的な価値を最大化する意識を持ち、日常の購入においても賢い選択を心がけている傾向が強いことがわかります。

エコバッグやマイボトルの利用は、経済的な面だけでなく、物価高を機に、環境に対する配慮も重視する生活者の姿勢が広がっていることを示しているのではないでしょうか。

また、年代的に見てとても特徴的だったのは、20代の生活者の行動です。20代では、口コミやレビューをチェックしコストパフォーマンスを考慮して購入を決定する人が多く、これは単なる節約を超え、買い物で失敗したくないZ世代を中心とした若年層に特徴的な消費傾向です。

■ガソリン価格高騰が切り開く新しい買い物習慣

<Q. 現在のガソリン価格の変化による、日頃の買い物行動への影響について、以下の選択肢のうち最も当てはまるものを1つお選びください。>N=312 *日常の買い物で車等を使っていない人を除く312人 20代~60代 合計スコア

<Q. 現在のガソリン価格の変化によって、日頃の買い物において具体的に行っていることを以下の選択肢から全てお選びください。>N=312 *日常の買い物で車等を使っていない人を除く312人 20代~60代 合計スコア

ガソリン価格の高騰は、日常の買い物に車を利用する多くの人々に影響を及ぼしています。車利用者の6割以上がこの価格変動を実感し、その結果として節約のためにまとめ買いをする、ガソリンが安い時に買い物に出かけるなどの工夫をしていることが明らかになりました。

そのために、ガソリンスタンドのアプリ経由でクーポンを使用するなど、日常におけるデジタル販促の普及を加速させている状況が窺えます。

また、約25%が車の使用を控え、徒歩や自転車、公共交通機関への移行を選んでいる点も注目すべきポイントです。これは単純な物価高における節約におさまらない社会の変化としての意味があり、日々の小さな運動としての移動を通じて自身の健康を意識したライフスタイルへの変化や、より狭い範囲での地域経済との密着感を強めやすい状況に繋がっています。生活者は変動する経済環境の中で、賢く、持続可能な選択をしていることがわかります。

★今回の気付き・ラーニング

アンケート結果を通じて、生活者の買い物行動における物価高に対する意識の高まりや具体的な行動が浮かび上がってきました。物価高を感じている人は全体の83%にのぼっており、食卓をはじめ生活全般は厳しい状況です。物価上昇の中で、消費者は単に節約に励むだけでなく、より賢い消費行動を取り入れています。価格の安い店舗を見つける努力、賞味期限が近い商品の選択、クーポンやポイントなどオンライン情報の積極的な活用により、消費者は価格変動に敏感に反応し、金銭管理を徹底しています。さらに、環境への配慮も重視し始めており、物価高を機にエシカルな消費にシフトしている姿が見えてきました。また、車での買い物を減らし、徒歩や自転車、公共交通機関利用へのシフトが見られ、これは自身の健康や地域密着型の消費行動への意識向上にもつながっています。

 

物価高に直面する現代の生活者に対して、小売店様が実施する施策は多様なものが考えられますが、このような生活者の行動変化を踏まえ、例えば、次のようなアイデアはいかがでしょうか。 ●デジタル技術を活用した、買い物支援ツールの導入(例:AIを活用した顧客の予算やニーズに基づき最適な商品を提案することで賢い買い物をサポート) ●地域住民との関係強化を狙った施策(例:地域住民が一緒になって大量購入することでコストを下げるコミュニティまとめ買いイベントや、来店客の健康や環境に優しいアクションを支援することがお買い物のお得に繋がるキャンペーン) ●関連事業者(ガソリンスタンドや公共交通機関など)とパートナーシップを組み、お得な買い物機会の提供と事業者全体の利用促進を図るプロモーション施策など、売り手と買い手の両方にメリットをもたらす、適切な戦略を検討することがお客様である地域住民の支持を獲得することに効果があると考えます。

この調査が皆さまの企画のヒントに少しでもお役立ちできたら幸いです。

 

■調査方法:ウェブ調査

■調査エリア:全国

■調査対象者:20〜69歳男女

■サンプル数:合計500サンプル (20代~60代まで各100名)

■調査期間:2023年10月27日(金)~29日(日)

■株式会社ディーアンドエムの登録会員を対象に調査を実施

 

※本情報の引用・転載時には、必ず当社クレジットを明記いただけますようお願い致します。

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