株式会社ナビットが2023年12月に取ったアンケートによると、冬の間、約5割の人が週に1回程度、鍋料理を食べているようです。ちなみに、紀文が「おでんを含む鍋料理」で取ったアンケートでは、この数は2倍に跳ね上がります。出典が紀文ということもあるかもしれませんが、おでんの喫食率はどの年代でも高い数値を示しています。温めるだけのレトルトパウチ品も多く、コンビニ等でも買えることから、気軽に食べられているのかもしれません。
2024年鍋トレンド予測 今年のキーワードは、“プラス特別感!”
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本日は9月1日。まだまだ猛暑が続く気配がありつつも、スーパーでは秋冬の訴求が始まっています。ビールやチューハイも、「秋」を冠した商品が売られ始めていますね。
スーパーのチラシにも秋の味覚が続々登場しています。気温がまだ下がっていない時期に秋の味覚を売り込むときには「素材は秋・温感は夏」の法則を意識しています。ホットメニューに惹かれるのはもう少し先のことになりそうです。
しかし今回は「温感は冬」を先取りして、今年の「鍋」メニューのキーワードを考えていきたいと思います。
■鍋料理の喫食頻度と食卓出現率の変化
また、鍋メニューの提案を考える上で大事な指標の一つには、食卓出現率というものがあります。私が特に注目しているのは、“たくさんの具材を要するが自由度も高い”「寄せ鍋」の食卓出現率です。寄せ鍋を作るために必要な材料=鍋の基本材料が冷蔵庫に揃う→鍋シーズン本格スタート、と捉えて鍋提案を進めます。秋時期に気温が特に下がる週があると、寄せ鍋の食卓出現率はぐっと急上昇します。ここから気温の高低に合わせて食卓出現率が数週上下した後、高い数値で安定します。その先はさまざまなバリエーションの鍋の食卓出現率も上がっていきます。
■昨年の鍋トレンド振り返り
さて、トレンドという視点で見ると、昨年、株式会社ぐるなびが発表した「トレンド鍋®」は、「とろみ鍋」でした。
観測史上最も暑かった昨年夏に、冷やしメニューを食べる機会が増加したことを鑑みて、秋冬は冷え疲れした体を温めるための提案でしたが、今年の夏も、昨年の夏同様「最も暑い夏」となりました。過酷な夏を乗り越えた体を労わる鍋提案は、今年も残るのではないでしょうか。実際に、今年、調味料メーカーからはとろみのある鍋が簡単に作れるゼリータイプのポーションが新発売されています。
ぐるなびの「トレンド鍋®」は、毎年恒例で発表される情報ですが、ここ10年ほどのトレンド変遷を見てみると、
2018年頃までは好きなモノ・流行を反映させた特徴があったのに対し、2019年から21年の間は、社会情勢や環境問題に影響されたトレンドだったように思えます。2022年には再び、ファッショントレンドを反映させた鍋になりますが、昨年は健康に配慮した鍋がトレンドでした。我慢を強いられたコロナ禍を経て、“やむを得ない”トレンドから“ポジティブ”な傾向へ戻りそうな気配があるものの、まだ戻り切れていない……といったところでしょうか。
■どうなる?今年の鍋
昨年のトレンド傾向に加えて、直近の社会情勢からはやはり「物価高」も影響を及ぼしそうです。
メリハリ消費が加速する中で、休日の団らんごちそう需要だけでなく、平日においても、鍋は存在感を増していくと思われます。平日でも鍋が選ばれる背景としては、一品で完結するメニューであること、使う材料の数や種類に自由度が広く、「タイパコスパ」との相性が良いためです。キッチンで完成させる必要もないため、我が家でも「鍋料理」は、秋冬期、忙しい平日の頼れるエースメニューです。火も鍋も使わず、レンジ調理で完結できる商品も出現しています。
一方、休日やハレの日には味わいや見た目、素材で「いつもと違う」団らんごちそうを楽しみます。外食で食べるような素材を取り寄せて自宅で楽しむ、上質な出汁を使うなど素材にこだわる傾向も高まるでしょう。
このような流れから、今年の鍋トレンドを考えるキーワードは「タイパ×コスパ+特別感」と考えます。
タイパコスパの良い商品を充分に訴求しつつ、手軽に変化を感じられる素材や食べ方提案が有効になるでしょう。
たとえば、「きのこ尽くし鍋」「ネギと豚肉だけ鍋」のように、節約志向で、使用する食材やカテゴリーを絞ったときでも、ユニークな鍋つゆやこだわりのちょい足し調味料、いつもは入れない珍しい具材にチャレンジするなど、手間とお金の代わりに遊び心や工夫をプラスする提案です。
今年の鍋シーズンは、これから1か月ほど後に本格スタートします。
もうすぐ売場に並べられる鍋つゆラインナップや、各社からの食べ方提案をチェックして、プラスしたい「特別」を見つけてみてはいかがでしょうか。