ブラックフライデー週の衣食住消費は、昨年すべてが大きく前年超え。
週の消費額を1年間の中で順位付けしてみると、全部門トップ10内にランクイン。衣料にいたっては年間消費1位週となっています。
2024ブラックフライデー予測
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実質賃金が過去最長の26カ月連続マイナスとなるなど、家計のひっ迫が続いています。賃金自体は微増しているというデータもありますが、まったく実感できないのは、続く物価上昇が理由の一つではないでしょうか。
物価高に悩む中で、お買得を実感できるセールは生活の救世主。今回は一年に一度の大規模セール、「ブラックフライデー」について取り上げたいと思います。
ブラックフライデーは、毎年11月の最終金曜日。小売店では大規模な安売りが実施され、買い物客が殺到して繁盛する日です。特にアメリカでは1年で最も売り上げを見込めるイベントとも言われています。
日本でも、ブラックフライデーは徐々に浸透し、定番化したように感じます。各小売業からブラックフライデーオリジナル商品が出るなど、私も一消費者として毎年楽しみにしているセールです。
■ブラックフライデーの消費傾向を分析
各流通小売り、外食業なども、ブラックフライデーセール期間中の売上高が伸びたことを報告しています。物価上昇が続く中で、日用品のまとめ買いや家電買い替えの機会にあてられるなど、ブラックフライデーが消費者・小売り双方にとって重要なセールになっていることは間違いないようです。
■富裕層向け商品も続々登場
一方、ブラックフライデーを機会に、高額商品を売り込む企業も。もちろん、インバウンド層の取り込みも狙いとしてあると思いますが、それだけが理由ではないようです。
野村総合研究所が昨年発表したレポートによると、実は近年、資産5億円以上の超富裕層が日本でも増加しているとのこと。そういった超富裕層向けと見られるのが、某GMSで売り出した嗜好性の高い兜飾りや高級ブランド時計、そして資産価値を追求した純金などの高額商品です。一昨年も数百万する純金のおりんを売り出していましたが、昨年、売り文句についた一言は、「家宝になる」…! 総合スーパーで、家宝も安売り食品も売るというのが、消費の二極化をこれでもかというほど体現している気がしてなりません。
■昨年より好機が増える今年の日周り
それでは、今年のブラックフライデーはいつでしょうか?昨年と比較したカレンダーを見てみましょう。
今年のブラックフライデーは11月29日。この日は、いい肉の日、いいフグの日、いい服の日…と語呂を合わせた記念日が複数重なっています。
また、日にちと曜日の重なり具合…いわゆる日周りの妙により、ブラックフライデーやボジョレーヌーボーの解禁日が、昨年より1週後にズレています。給料日がブラックフライデーの後だった昨年と違い、今年はブラックフライデー週と同じ週の月曜日。そして、直後には小売りのクリスマス・歳末商戦が本格スタートする12月が控えています。
ブラックフライデーは、単日完結ではなく、前後で延長する期間型セールで開催されます。今年は特に、ブラックフライデー周辺にある、消費活性チャンスを取りこぼさないような期間戦略が重要です。
■新しい消費スタイル「グリーンフライデー」とは?
ブラックフライデーは小売りにとって消費が活性化するチャンスですが、大量消費には大量廃棄の問題がついて回ります。SDGsを考える中で、ブラックフライデーのアンチテーゼとなる「グリーンフライデー」の提言も行われています。消費活性化とSDGsの両立は今後も考えていきたい課題です。
また、ブラックフライデーのチャンスは消費活性化だけではありません。ブラックフライデーを起点に、新しい買い方や新しい買い場への誘導も有効でしょう。いつもの買い物と違う体験で、「お買得」以外の楽しさを提供できます。また、小売店にとっては、告知の手段や情報解禁範囲を検証する良い機会にもなりそうです。
■今年のブラックフライデーの課題とチャンス
繰り返しになりますが、ブラックフライデーのセールは単日完結ではなく、期間型での展開です。期間中にたくさんのお客様に来ていただくことを考える必要がありますが、期間中に1人のお客様が複数回来店するような施策が特に重要になるはずです。
また、今夏は昨年に引き続き、猛暑となっています。秋になってもなかなか気温が下がらなかった昨年同様、今年も夏が長引きそう……。となると、9月10月は秋冬需要品の動きは鈍化すると予想され、特にその煽りを受けそうな衣料住居カテゴリーでは、冬物衣料品や暖房器具を売り込む以外にも、驚くようなサプライズ品が各社から提供されるかもしれません。注目はやはり高額価格帯になる家電や、翌月のクリスマス用に前倒し購入として訴求できる高級服飾小物品、といったところでしょうか。店舗や地域によっては、インバウンド層への訴求を強化するべきでしょう。
個人的には、今年も家宝訴求があるのか、期待して見守りたいところです。
まずは今年の期間戦略をしっかりと練り、売り手としても消費者としても、満足できるブラックフライデーにしたいですね。