スコープ販促創造研究所

“レコメンド疲れ”を超えて買物を楽しく 生成AIとデータで描く未来のリテール

“レコメンド疲れ”を超えて買物を楽しく 生成AIとデータで描く未来のリテール

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現代の消費者は、便利さの代償として「レコメンド疲れ」という新たなジレンマに直面しています。しかし、その疲れを超えた先には、もっと楽しく、魅力的な買物体験が待っているかもしれません。このコラムでは、生成AIとデータを活用することで、どのようにして買物を楽しいものに変えていけるかを考察します。

■時間の価値と非効率を再評価する

「1分1秒をどう使う?」。現代社会では、1分1秒をどう使うかが大きなテーマとなっています。特にマーケティング界隈では、Z世代の新しい価値観として「タイパ」(タイムパフォーマンス)が注目されています。しかし、効率性を追求するあまり、非効率から生まれる本来ある価値が見過ごされがちです。例えば、ショッピング中に起こる予想外の新しい発見や偶然の出会いには、効率を重視していては得られない楽しさがあります。この非効率の価値を再認識することが、未来のリテールにおける新たな購買体験を生む鍵となるのではないでしょうか。

■テクノロジーの進化と消費者のジレンマとは?

テクノロジーの進化によって、消費者は便利で効率的な買物ができるようになった一方で、商品選定における「新たな発見」や「楽しさ」は置き去りにされつつあります。その一つの要因となっているのがパーソナルレコメンドの普及です。パーソナライズされたレコメンドや広告に「追われている」というネガティブな印象を抱く「レコメンド疲れ」が広がり、同様にフィルターバブル※の影響で選択肢が狭まるというジレンマに直面しています。こうした現象については、欧米を中心に過度なパーソナライズ化の潜在的リスクに関する報告が上がっており、消費者が自ら新しい発見と楽しさを追求できるアプローチの必要性が指摘されています。この背景を受け、私たちスコープは、AIを活用した新たな購買体験を提供する「コトタグ®」を開発し、買物をエンターテインメントへと昇華させる挑戦をしています。

■AIと「データの再価値化」による新たな購買体験を提供

2022年に発足した「コトタグ®」開発のプロジェクトチームでは、AIを単なる業務効率化のツールとしてではなく、新たな価値を創造するためのものとしての活用を目指しました。スコープで過去に蓄積されたチラシやPOPといったアナログメディアのデータを、構造化することで新たな価値を創出する。このような既存データの再価値化の必要性については、様々な経済研究所やビジネスアナリスト達にも注目されており、デジタル時代における重要な資源戦略とされています。「コトタグ®」は特に食品スーパーでの非計画的な買い物行動に着目し、単純な商品レコメンドではなく、食卓でのシーンや潜在的なニーズを提案するような仕組みで、消費者が売場で考えを巡らせながら新しい商品と出会う楽しさを感じられるように設計しました。

■リテールの未来のあり方を探求し続ける

2024年9月に特許仮出願を完了し、特許出願中の「コトタグ®」は、効率性を超えた「楽しさ」や「衝動」を生み出し、日常の買物をエンターテインメントへと進化させる可能性を秘めています。食品スーパーでの買物のうち約7割以上が非計画購買だといわれています。その非計画購買が楽しいものになれば、日々の買物も楽しいエンターテインメントに変わるはず。レコメンド疲れを超えて、効率性に縛られない新たな買物体験を提案することで、未来のリテールやリアル店舗の楽しみ方に新たな道筋を描くことができるのではないでしょうか。

「コトタグ®」についての詳細はこちらからリリースをご覧ください。

※フィルターバブルとは、インターネット上でアルゴリズムが利用者の過去の検索履歴やクリック履歴などを基に個々に最適化された情報を提供する過程で発生する現象です。このアルゴリズムはユーザーにとって関連性が高いと判断した情報を優先的に表示するため、ユーザーは自分の興味や価値観に合致した情報ばかりを目にすることになります。

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