<Q.あなたは普段の買い物時に意識してポイントを貯めていますか?下の選択肢よりご自身に当てはまるものを1つお選びください。 n=500 (SA)>
-買い物行動・意識定点調査(第4回Vol.2)-【消費者心理×ポイ活】人々はなぜポイントを貯めるのか?目的と行動の間にあるギャップとは
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昨年末に配信した『第4回買い物行動・意識定点調査』に続き、今回のVol.2では同アンケートで調査したポイ活の実態について考察します。近年、ポイ活市場は急速に拡大し、ポイントが貯まるシステムは、店舗やブランドを問わず当たり前になりつつあります。物価高の影響で節約意識が高まる中、生活者はポイントによる便利さやお得感を実感することで、さらに積極的にポイントを貯める意識を高め、より効率的にポイントが貯まるお店を選ぶようになっていくことは容易に想像ができるでしょう。ポイントプログラムを運営する企業や導入する小売店は、生活者が単にポイントを貯めるだけでなく、活用したくなる機会を増やし購買行動を促す取り組みが欠かせません。
本調査では、「なぜ人々はポイントを貯めるのか」という目的意識に加え、その目的と実際の行動の間にあるギャップを明らかにし、今後店舗が取り組むべきポイントプログラムの活用策のヒントを探ります。
※今回の調査では、人々がポイントを貯める理由を明らかにすることを目的としています。そのため、明確な目的を持ってポイントを意識的に貯めている人に注目して分析を進めます。
❶ポイ活、どれくらい意識している?世代で異なる実践度

今回の調査では、全体の73.8%が「意識してポイントを貯めている」と回答しました。特に50・60代では8~9割が積極的にポイ活を実践しています。一方で、20代では「意識的に貯める」という認識が低いですが、ポイ活市場の活況からしても、意識せずとも“貯まる”ことが当たり前の環境にいるのではないでしょうか。
❷貯める目的は節約だけじゃない。世代別に見るポイ活の価値観
<あなたが意識してポイントを貯める理由として、以下の項目ごとにご自身のお気持ちに当てはまるものをそれぞれ1つずつお選びください。 n=369 (SA)>

ポイントを意識して貯めている対象者にポイントを貯める理由について質問したところ、どの年代においても「目に見えて実感できる節約」が重要視されており、単なる節約ツールではなく成果を実感し、日常生活に安心感や満足感を与える手段として活用されていることが分かりました。
一方で、世代ごとにその捉え方には違いが見られます。
20代=「ポイ活エンタメ層」
…「効率的に貯めたり使ったりする工夫を楽しんでいる」人が多く、さらに「ポイ活をしている仲間や他人との一体感」や「ポイ活を実践している自分に対する満足感」といった心理的な側面も重要な動機となっているように、ポイ活を「節約や貯蓄を楽しみながら行う活動」として捉えています。
30・40代=「実用層」
…性別により若干捉え方に違いはありますが、「目に見える形で貯蓄していることを実感するため」も含み、実用的な理由が中心で、家計管理の一環として計画的にポイントを貯め、必要な場面で活用する意識が強い傾向が見られます。
50・60代=「安心重視層」
…生活防衛的な側面からも、特に「貯めること自体が安心感につながる」という意識があり、貯めることを目的化しがちな傾向が見られます。
以上のような形で今回の調査から各世代のポイ活に対する価値観を表すことが出来ます。
一方では、この「貯める目的」と「実際の行動」には世代ごとにギャップが生じている点も明らかになりました。
❸しっかり管理する世代 vs. つい貯めっぱなしの世代、その違いとは
<あなたは普段のお買い物で意識して貯めたポイント数をどの程度把握していますか。 n=369 (SA)>

<普段のお買い物で意識して貯めたポイントの使用状況について伺います。以下の選択肢よりご自身に最も当てはまるものを1つお選びください。 n=369 (SA)>

ポイントを意識して貯めている消費者が、実際にどのように管理し、活用しているかを調査したところ、
20代(ポイ活エンタメ層)
・「効率的に貯める」ことに楽しさを感じる一方で、実際の管理や消費にはあまり意識が向いていない
・ポイントの正確な把握率は比較的高いものの、消費率は低く、貯めることが目的化しやすい
・端数払いなど小額決済で細かく使う傾向があるが、計画的に大きく活用することは少ない
30・40代(実用層)
・家計管理の一環としてポイントを貯めており、管理や活用がしっかりできている
・「だいたい把握している」割合が最も高く、無駄なく使い切る割合も高い
・計画的にまとめて使用し、節約効果を実感している
50・60代(安心重視層)
・「貯めることが安心感につながる」という意識が強く、実際の管理は緩い
・把握状況は全世代で最も低く、失効してしまうケースが多い
・ポイントを「必要なときだけ使う」傾向があり、計画的な消費ができていない
以上のように、ポイ活の管理と活用には世代ごとの明確な違いが見られ、このギャップを解消するためには、各世代に適したポイントの管理・活用支援策が必要です。
❹こまめに使う?まとめて使う?世代ごとに異なるポイント消費の傾向
<普段のお買い物で意識して貯めたポイントの使い方について伺います。以下の選択肢よりご自身に最も当てはまるものを1つお選びください。 n=369 (SA)>

また、貯めたポイントの使い方についても世代ごとに価値観や行動スタイルが反映されていることが分かりました。
20代(ポイ活エンタメ層)
・女性では「ある程度貯まったら少額を少しずつ使う」という傾向が強い
・常に一定のポイントを保持しつつ、余裕が出た分をこまめに消費することで安心感を維持している
30・40代(実用層)
・計画的にポイントを活用し、節約効果を最大化する意識が強いことが特徴
・無駄にせず効率的に使い切ることを重視し、貯めたポイントを日常の支出の一部として組み込んでいる
50・60代(安心重視層)
・ポイントをまとめて使う傾向があり、ポイントを使うことで得られる金銭的・心理的なゆとりを重視
・一方で一定のポイントが貯まるまで使う意識が働きにくく、結果的にポイントが失効しやすいという課題も見られる
このように、ポイントの使い方は、単なる節約行動にとどまらず、各世代の消費意識や購買行動にも影響を与えていることが見えてきました。
<今回の気づき・ラーニング>

今回の調査から、ポイ活は単なる節約手段にとどまらず、世代ごとの価値観やライフスタイルに応じて活用され、人々に安心感や満足感、さらには楽しさを与える存在となっていることがわかりました。特に20代ではエンタメとして楽しみながら節約や消費を工夫する活動として定着している一方、30代以上では実用的な節約ツールとして家計管理に役立てる姿が見られます。こうした意識や行動、感情を見ていくことで、ポイ活が個人の消費行動だけでなく、社会全体の消費傾向や特徴、流れを映し出していることが明らかになりました。それぞれの世代やニーズに対応したサービスを提供することで、ポイ活のさらなる活用が促進される可能性があり、人々の生活に深く溶け込んでいるポイ活は、まさに現代の人々の価値観、消費行動、心理、そして社会全体の消費傾向を映し出す生活文化のバロメーターといえるでしょう。
そのため、小売の現場でもお客様に対して単にポイントを貯めることを促すのではなく、自店のターゲット属性を見極めて、各世代の購買行動や価値観に合わせたポイントの活用提案を行うことが重要です。
20代(ポイ活エンタメ層)では、ポイントの「成長」を視覚的に楽しめるクエスト型のポイント獲得イベントや、特定のミッションを達成すると特典がもらえる仕組み、少額ポイントで特典を得られるオプションを設けることで、より効果的な活用が期待できます。
30・40代(実用層)には、家計管理の中でポイントの節約効果を実感できるような可視化機能が有効であり、特に男性向けには、家計管理に役立つポイント管理ツールの活用を促すことで、貯めたポイントの有効活用がさらに進むと考えられます。
50・60代(安心重視層)には、貯めたポイントを「使うこと」に意識を向けやすい仕組みが求められます。個人の嗜好やライフスタイルに合わせた最適なポイント利用方法を提案や、無理なく自然に消費できる仕掛けがポイント活用の促進につながるでしょう。
また、ポイントプログラムが乱立し、消費者が「どのポイントをどのように使えばよいのか?」と迷う場面も増えています。こうした状況に対応するために、ポイントの横断的な利用や統合管理の仕組みが今後進展する可能性が高まっています。
小売業においても、ポイント施策をどのように設計するかがより重要になっており、「自社独自のポイントを維持・発展させるのか、それとも大手プラットフォームと連携し利便性を高めるのか」、自社の顧客層や販売戦略に応じて、ポイント施策の方向性を見極めることが求められるでしょう。例えば、共通ポイントとの連携を強化することで、より多くの消費者に利用してもらえる機会を増やし、来店頻度や購買単価の向上につなげることが考えられます。 一方で、独自のポイント施策を強化する場合は、ポイントの「貯めやすさ」「使いやすさ」に加えて、来店・購買行動を促進する新たな仕掛けを設計することが求められます。
いずれにしても、「ポイントをどのように活用すれば、消費者の購買行動をより活性化できるのか?」 という視点を持ち、自社の強みや顧客層に合わせた最適なポイント戦略を考えることが、これからの販促施策の鍵となるでしょう。
このように、ポイ活は単なる「節約の手段」ではなく、「消費をより楽しく、より便利にするツール」 として進化していく可能性があります。
物価高や少子高齢化が進む現代において、消費者の「効率性」と「楽しさ」を高めるポイ活は、小売店が生活者から「選ばれる存在」になるための重要な手段です。ポイントを通じて消費者にポジティブな感情を提供することで、店舗への信頼や愛着が生まれ、競争が激化する市場環境の中でも優位性を確立することができます。結果として、小売店は売上増加や顧客基盤の拡大といった利益を得ることができ、持続可能な経営にも繋がるでしょう。
今回の調査が皆様のご参考になれば幸いです。
■調査方法:ウェブ調査
■調査エリア:全国
■調査対象者:20~69歳男女
■サンプル数:合計500サンプル(20代~60代までの男女各50名)
■調査期間:2024年11月22日(金)~25日(月)
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