スコープ販促創造研究所

匠が語る!効果的な店内装飾が生まれるまで ~スコープ販促の匠 2人目~

匠が語る!効果的な店内装飾が生まれるまで ~スコープ販促の匠 2人目~

販促一筋36年!のスコープ社内には、その歴史とノウハウを支える人々=「販促の匠」が多く存在しています。「スコープ販促の匠」は、そんな匠たちにスポットを当て、その技と熱い思いに迫るシリーズ企画です。

第二弾となる今回は、デザインとアイデアで小売の現場を彩る「店内装飾」についてご紹介します!

店内装飾制作 猪狩 佳江(社歴21年)

コンテンツクリエイティブ事業本部 リテールデザインDPT2

デザイン制作事務所と内装デザイン会社でメーカー販促や雑誌広告制作、店舗改装デザイン業務に携わった後、2004年スコープ入社。大手小売の季節催事店頭装飾業務を20年間担当。

①店内装飾制作業務について

インタビュアー:猪狩さんのお仕事内容について教えてください。

猪狩:イトーヨーカドーの大型季節催事(バレンタイン・ホワイトデー・母の日・父の日・お中元・クリスマス・おせち・お歳暮など)に関連する全館装飾のキービジュアルや展開プランの提案、それに付随するカタログの予約販促POP作成が主な業務です。

↑催事場の全体レイアウトイメージ

↑クリスマス立体装飾 / おせちカタログの装飾背板

↑カタログ予約商品店頭ボード

<業務フロー>

※1 基準店での設営実験
新しい店内装飾を導入する際に、クライアントが設定した「基準店」でまずテストを行い、見やすさや、お客様の購買意欲にどう影響するかなどを細かくチェックし、より効果的なものになるようブラッシュアップする工程。

猪狩:立体物も扱う店内装飾は、平面や画面上で完結するチラシやweb制作業務とは違って、実際の売場で設置した際にどのように見えるかまで検証する必要があります。そのため、多くの案件で基準店での設営実験が行われ、私たちもそこに立ち会います。クライアントやメーカーの担当者から修正が入って、その場で対応をすることもあります。そして、承認が得られたものから、次々に出稿していきます。また、POPによってはお店で働く人に設営をお願いするものもあるので、売場の方向けの設置・運用マニュアルの制作も私たちの業務です。 納品後も私たちの業務は続きます。メンバーみんなで店舗に赴き、自分たちが制作したものが実際にどのように展開されているか、お客様の反応やお店の雰囲気を確認するのも大切な仕事です。そこで得られた気づきはレポートや写真で関係者に共有します。そういった情報は、次回の提案に向けての改善策や新たなアイデアとしてストックしています。

②業務を行ううえで大切にしていること

インタビュアー:より良い店内装飾の制作するために、どのようなことを大切にされていますか?

猪狩とにかく現場に足を運んで、自分の目で売り場を見ることです。クライアントの店舗だけでなく、競合他社はもちろん、駅直結型から郊外店、ディスカウントショップから百貨店まで、あらゆるタイプの店舗を広く見て回るようにしています。 その際、プロとして業務目線で見ることも重要ですが、同時に一人の消費者として「なんかいいな」「素敵だな」と感じる直感的な感覚も同じくらい大切にしています。 そして、それらの情報を個人の感想として自分一人で留めておくのではなく、チームや外部のスタッフさんと共有することで、チーム全体の知見として蓄積していくように心がけています。

インタビュアー:たくさんの売り場を長年見ている中で、この20年間で変化したなと思う点はありますか?また、昨今の店内装飾のトレンドについて教えてください。

猪狩:昔は天井から大きなPOPを吊るしたり、紙だけでなく布製の横断幕などもバンバン使ったりしていました。プラスチックのオーナメントで派手に装飾することも多かったですね。 でも今は、SDGsの観点から環境にやさしい素材を使うことが増えました。特に大手スーパーではコスト削減の影響もあって、お正月に使う繭玉やクリスマスツリーといった装飾を、昔は毎年新調していましたが、最近では大切に管理して何度も繰り返し使っていただいています。 提案する側の私たちも時代とともに変化しています。昔は季節ごとに新しい装飾を納品して利益を得ていましたが、複数の催事を横断して使っていただけるような装飾の提案も行っています。 上記画像は実際に私たちが制作し、売場で展開されたものの写真です。POPホワイトのベースにカバーを付け変えることで、ハロウィン→クリスマス→迎春→恵方巻……とコストを抑えながら展開できます。店頭での組み替えもしやすく、コスト面でもオペレーション面でも好評でした。環境への配慮と表現方法を両立させる動きは、今後も続いていくでしょう。

③店内装飾制作における課題

インタビュアー:業務をされていて、大変だと感じることはどういった点ですか?

猪狩:年間の催事って、正月があって節分があってバレンタインがあって母の日父の日があって…って決まっていますよね。毎年、同じ催事に対して「もう出し尽くした!」と感じるまで、アイデア出しを千本ノックのように行っています。それを、なんせ20年も続けているので、「提案がマンネリになっていないか」が常に課題にはなっていますね。 でも、その千本ノックを毎年粘り強く続け、その時々のトレンドを加えたアイデアを提案し続けています。何年か前にボツになったアイデアが、新たなトレンドの後押しを受けて数年後に実現したという事例もあります。これまでのアイデアの蓄積は、単なるアーカイブではなく、新しいアイデアを生み出すための土台として役立っていると実感する瞬間ですね。これまでの膨大な数の提案と、そこから得られた知見があるからこそ、お客様のニーズを深く理解し、毎年効果的な提案を粘り強く続けられているんだと思います。

④店内装飾におけるスコープの強み

インタビュアー:猪狩さんはイトーヨーカドーの店内装飾の業務に20年間携わっていますが、一つのクライアントから受注し続けられている理由はどこにあると考えますか?

猪狩:それはやっぱりクライアントに「とことん寄り添う力」なんじゃないかなと思います。 小売店の販促担当者の中には、「新しい売り場を作りたい」「この催事を盛り上げたい」という目標や「何か新しいことをしたい」という熱意はあっても、具体的なビジョンやイメージをまだかためられていないという方も時々いらっしゃいます。 そんな時私たちは、担当者さんの潜在的なニーズを一緒に探すことから始めます。例えば、「どんなお客様に来てほしいか」「お客様に何を感じてほしいか」といった、問いかけを重ねることで、担当者さん自身も気づいていなかった「やりたい売り場」のヒントを引き出します。 そして、そのヒントを具体的なデザイン・装飾提案に落とし込んでいきます。担当者さんの頭の中にある「ぼんやりとしたイメージ」を、プロの視点で明確な形にしていくイメージです。クライアントの気持ちに寄り添い、実現まで一貫してサポートすることで、満足していただける売場づくりが実現できるのだと信じています。

⑤今後の展望

インタビュアー:スコープの店内装飾は、今後どのように進化していくと考えていますか?

猪狩:先ほど「年間催事は同じイベントの繰り返し」と言いましたが、今後は日本ならではの新しい季節催事の提案をしたいとも考えています。たとえば「恵方巻」は、もともと関西にあった習慣ですが、今では全国的に大きなイベントになっていますよね。こんな風に、日本古来の習慣や行事に新たなアイデアをかけ合わせて、大きな集客イベントとその装飾を提案できたら良いなと考えています。 また、当社の制作環境も日々進化しています。当社はこれまで複数の場所に点在していた部署が、8年前に飯田橋のオフィスにすべて集約されました。これにより、店内装飾だけでなく、編集、立体デザイン、施工納品、ノベルティ制作、SNS施策など、各分野のプロフェッショナルたちが部署の垣根を越えて、リアルタイムに連携できる環境が整いました。 制作のプロフェッショナルを社内に多数抱え、ワンストップで多様なソリューションを提供できる体制は、同業他社の中でも珍しいのではないでしょうか。このユニークな強みを最大限に活かし、多角的な視点から最適な企画・提案をよりスピーディーに行えるようになると思います。

インタビュアー:今回は、「店内装飾の匠」をご紹介しました。 店内装飾に課題のある方や企業様がいましたら、ぜひお問合せください! 当研究所はこれからも、当社の匠のノウハウを、販促業界の皆さまに共有していきます!

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