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<お買い物ワクワクモヤモヤ研究会トピックより>もしもの時の備えできていますか?2025年の防災備蓄のリアル

<お買い物ワクワクモヤモヤ研究会トピックより>もしもの時の備えできていますか?2025年の防災備蓄のリアル

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9月1日は「防災の日」。これは、1923年9月1日に関東大震災が発生したことに由来し、この日をきっかけに災害への備えを考えることが重要だとされています。

最近、日本各地では記録的な豪雨による河川の氾濫や土砂災害も全国的に発生しており、他人事ではないと感じている方も多いのではないでしょうか。また、これから秋にかけては、大型で強い勢力の台風が上陸するシーズンでもあります。
そして、忘れてはいけないのが地震。いつどこで大きな揺れに見舞われるかわからない状況が依然として続いています。

このように、私たちの周りにはさまざまな災害リスクが潜んでいます。いざという時に大切な命や生活を守るためには、日頃からの備えが不可欠です。
そこで今回は、販促創造研究所のコミュニティサイト「毎日のお買い物“ワクワク”“モヤモヤ”研究会」の会員に、防災備蓄についての意見を募りました。実際に役に立ったアイテムや最近新たに取り入れたものなど、さまざまな意見が集まりましたので、紹介しながら、防災備蓄に関する買い物事情について考えていきます。

◆トピックで語られた防災備蓄事情

1.そもそも防災備蓄を用意していますか?

たくさんのコメントを見る中で、まず共感したのはこちら。

「何かしなければいけないと思いつつ、なんとなくやり過ごしてしまっているのが現状です。」タラリラリンチャムさん
「いざという時のために、防災用品を備えなければ、と思っていますが、後回しになっています。いつでも避難することができるよう、ジャージで寝ることしかやっていません。」ピンクサファイアさん

日々仕事や家事に追われていると、大切なことと頭ではわかりつつも、実際に行動に移すのは難しいですよね。

安全靴や作業着等を販売する通販サイト、ミドリ安全.com(https://midori-anzen.com/ )が行った調査では、「防災備蓄ができている」と答えた人の割合は年々増えており、2025年では59.0%にまでなっていますが、まだ4割程度の人ができていないという実情がうかがえます。

また、防災備蓄をしていない理由としては、「お金がないから」「何をしたらいいかがわからないから」「保管スペースがないから」といったコメントが上位となっていました。

2.やはり何よりも大切な「水」

防災備蓄をしている人のほとんどが、水をストックしていると答えてくれました。

「水は特に箱で購入しています。」ミックさん

「うちはマンションで、停電すると水も出なくなりました。少しは水も備蓄していましたが、いつまで停電なのか分からないので、使ってしまうのはリスクがあるので、怖くて使えませんでした。ガスは自分で復旧できましたが、お風呂はもちろん沸かせませんし、調理も家にある野菜は洗わないと使えません。肉も触ったら水で洗いたいですし、結局調理も水が出ないので諦めました。水の大切さを実感しました。その後、水は多めに備蓄するようにしました。」しとらすさん

内閣府による首都直下地震等による東京の被害想定によれば、各ライフラインの復旧目標日数は、電気で6日、上水道で30日、ガス(都市ガス)で55日となっています。このことから水の確保が重要なことがわかりますね。

また、水は飲むだけでなく、手を洗ったり調理をしたりといった生活全般に不可欠なものだということに、改めて気づかされました。

3.今や防災備蓄の常識「ローリングストック」

今回のアンケートで多く目にしたのが「ローリングストック」という言葉。

「食料品はローリングストック、日用品は手持ちのアウトドア用品や100均で買い揃えたりしています。」りこぴんさん

「レトルト食品や缶詰飲料水は、ローリングストックしています。」ちょびんちゃんさん

ローリングストックはその手軽さから、消費者の生活に広く浸透しているようです。災害時という不安な時でも、普段食べている自分の好きなものが食べられるという安心感も、ローリングストックのメリットですよね。

また、キャンプ・アウトドア用品はたしかに災害時にも大いに役立ちそうです。

防災備蓄は、いざという時のための「特別な準備」と考えがちですが、日常の買い物ついでに備えたり、趣味と防災を組み合わせたり、気軽に取り組むことが、長く続けられるコツかもしれませんね。

4.TPOに応じた備え

いつ、どこで災害が起こるかは、私たちにはコントロールできません。しかし、自分の生活スタイルや住んでいる場所に応じた対策をとることは可能です。

「マンションなので、トイレが心配なので、トイレ用品もずいぶんと揃いました。」野うさぎさん

住んでいる環境や家族構成などによって、必要なものそうではないものは変わってきますよね。一般的な情報だけを集めるのではなく、近所の人や似た家族構成の人と情報交換することも大切なのかもしれません。

「出先でいざというときのために、防水性の高い防災ボトルを持ち歩くようにしています。」ALLENさん

防災備蓄というと家での備えのことに終始している人も多いようですが、外出先で災害に遭う可能性があるということは念頭に置いておかなければなりません。外出先といっても、出勤・退勤時なのか、休日に出かけているのかによっても状況は変わります。あらゆる想定をして備えておくことの重要さを気づかせてくれる貴重なご意見でした。

また、災害に遭う時の季節も念頭に置いておきたいですね。寒い時期なのか、猛暑なのか、それによって備えるべきものは大きく変わります。冬の寒い時期であれば防寒具やカイロ、夏のような猛暑であれば暑さ対策アイテムが欠かせません。

特に近年は、夏の記録的な猛暑が続いています。避難生活で冷房が使えない場合、熱中症のリスクが高まります。そこで、冷却シートや携帯扇風機、そしてドライシャンプーといったアイテムを防災備蓄に加えるのはいかがでしょうか。ドライシャンプーは、お風呂に入れない状況でも髪のベタつきやニオイを抑えることができるので、季節を問わず避難生活を少しでも快適に過ごすための心強い味方になります。

5.家族と話し合おう

「もしも」の時のことについて家族と話し合っておくことはとても大切で、それは防災備蓄に関しても同様です。家族との話し合いについて言及していてコメントをご紹介します。

「特に重要なのは家族との災害時の決め事です。電話がつながらない時にはどうするかなど事前に話し合っています。」ごんちゃんさん

「いつもとる宅配に備蓄食品があったので水と乾パンをとりました!

乾パンは長期保存が効きますが喉がかわきそうだね!と家族で話をしました!」あもどんさん

防災備蓄は家族みんなで共有するものです。それについて意見を出し合ったうえで用意しておくことは、災害後の生活の質向上に直結する大切なアクションだと気がつきました。

◆小売店がすべき防災備蓄の販促は?

皆さんの発言から、防災備蓄のリアルな買い物事情をうかがうことができました。

それでは、小売店では防災備蓄に対してどのような準備をしておくべきなのか、3つほど気づきを挙げてみたいと思います。

①あと一歩を後押しするきっかけづくり

今回のアンケートから、多くの人が「備えなければいけない」と思いつつも、つい後回しにしてしまっている実態が浮き彫りになりました。これはつまり、まだ顧客開拓の余地が大いにあることも同時に示しています。

こうした人々の背中を押し、「この商品なら買ってみようかな」と思わせるきっかけをつくることが、小売業に求められていることであり、このきっかけづくりこそが販促の力の見せどころではないでしょうか。

②「自分にとって最適な備え」の提案

アンケートの結果から、住んでいる環境や家族構成、さらには災害に遭う場所によって、備えるべきものが異なることが見えてきました。また、防災に対する意識や、費用面の不安もそれぞれのようです。

こうした状況を踏まえると、求められているのは「自分にとって最適な備えは何か」ということではないでしょうか。例えば、家族構成に合わせた「4人家族向け防災セット」や、気軽に始められる「初心者向けセット」などを提案することで、これまで踏み出せなかった人の購入につながるかもしれません。消費者のスタイルに寄り添った選択肢を用意・提案することが、防災意識を高めるきっかけになるはずです。

③「気軽に、楽しく続けられる」要素を加える

防災や災害の話題はどうしても堅く、難しくなりがちです。しかし、それでは一部の層にしか届きません。より多くの人に備えの重要性を伝えるには、「気軽に、楽しく続けられる」工夫が必要です。

例えば、キャンプやアウトドアグッズと組み合わせて展開したり、非常時にも家族や友人気晴らしができるボードゲームやカードゲームを販売したりするのはいかがでしょうか。

こうした工夫は、防災に対するモチベーションを長続きさせることにもつながります。防災備蓄は一度用意すればいいというものではありません。いざという時に使えるよう日頃からメンテナンスが必要ですし、何より重要な目的は災害後の生活で活用することです。だからこそ、消費者のモチベーションを維持させるための工夫を、小売店側も積極的に取り組むべきだと感じました。

 

以上、防災備蓄トピックの生活者発言からの気づきでした。

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