<お買い物ワクワクモヤモヤ研究会トピックより>生活者は何を基準に「リピート買い」するのか?
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はじめに
お店には数えきれないほどの商品が並び、ネットを開けば無限の選択肢がある現代。私たち小売・マーケティングに携わる人間にとって、「一度きりで終わらせず、長く愛される定番品(リピート品)になれるか」は永遠のテーマです。
価格競争が激しい中でも、お客様は単に「安いから」という理由だけで商品を使い続けているわけではありません。そこには、生活者ならではの譲れないこだわりや、失敗から学んだ教訓、そして商品に対する深い愛着が存在します。
今回は、生活者の本音が集まるコミュニティサイト「毎日のお買い物"ワクワク""モヤモヤ"研究会」に投稿された、「リピート買いしているもの」に関するコメントを読み解いていきます。皆さんが普段何気なく選んでいる商品には、どのような「選ばれ続ける理由」が隠されているのでしょうか。
1.「浮気」してみたけれど……結局、いつもの味が一番
リピート商品として最も多くの声が挙がったのが、醤油、マヨネーズ、味噌といった基礎調味料や、納豆などの日常食です。皆さん、一度は「ちょっと安いから」「新商品だから」と他の商品に目移りした経験があるようですが、結局はどうされているのでしょうか。
「いろいろ試してみても、結局同じメーカーの納豆に戻ってきます。」(kkさん)
「マヨネーズ。いろいろなメーカーやPB商品など試したけれど、やっぱりコクがあっておいしいのはこれだけっていう商品に出会った。」(りこぴんさん)
「『八方だし』です。他のじゃ料理の味が決まりません。」(ふじむすめさん)
このように、「いろいろ試したけれど戻ってきた」という声が非常に多いのが印象的でした。
食卓において、使い慣れた調味料や基本食材を変えることは、実は一種の「冒険」であり「リスク」だということでしょうか。「味が決まらない」「家族の反応がいまいちだった」という失敗体験は、数十円の節約効果を上回るストレスになってしまうようです。
皆さんのコメントから、特定の商品がご家庭の味の「基準」になっていることが分かります。一度「これが我が家の味」と認識されると、多少の価格差があっても、失敗のない安心感が勝るようです。売り手側としても、こうしたカテゴリーでは無理な安売りよりも、「変わらない味への安心感」を伝えることが、長くお付き合いいただく秘訣と言えそうです。
2. 体のことだけは、高くても譲れない
年齢を重ねるにつれて気になりだす体調の変化や、健康への意識。ここには「価格」よりも優先される、切実な思いがあるようです。
「血糖値が高いといわれてからは、まじりけなしの純粋なりんご酢をリピート買いしています。」(ささささん)
「体のためにカロリーオフの調味料や甘味料など高くなってもこれだけは欠かせません。」(おかーんさん)
「毎日の歯磨きのために、シュミテクト、リピート買いしている。」(みいさん)
「高くなっても」という言葉に、強い意志を感じますね。
健康上の課題を解決してくれる商品は、単なる食品や日用品ではなく、もはや「健康維持のための投資」と捉えられています。特にシニア層や健康意識の高い方にとって、ここは節約の対象外になりやすいポイントです。
売り場作りにおいても、「〇〇円お得」と安さをアピールするより、「血糖値が気になる方に」「高濃度フッ素で守る」といった、どんな悩みに寄り添える商品なのかを明確に伝えることが、指名買いへの近道になりそうです。
3. 「安い」だけがコスパじゃない? 手間や無駄を省く賢い選択
「コスパ(コストパフォーマンス)」という言葉もよく使われますが、みなさんのコメントを読んでいると、単に「値段が安い」ことだけをコスパと呼んでいるわけではないようです。
「真空パックされたお米です。少ししか食べないので2㎏を買っていても虫が出てきますから、高くてもと思って10パック入りを買っています。(中略)この価格差には驚きます。」(アールグレイさん)
「意外と、トイレットペーパー(^^)。何度か値段につられて違うものを買いましたが、ペーパーを変える頻度が上がってしまって💦結局コスパ悪いのでは?と実感しました。」(みかさん)
お米のエピソード、共感される方も多いのではないでしょうか。お米に虫が湧いてしまうという「廃棄ロス」や「不快感」を防ぐために、あえて単価の高い真空パックを選んでいるんですね。
トイレットペーパーのお話もハッとさせられます。薄くて安いペーパーはすぐになくなるので、頻繁に交換しなきゃいけないし、芯のゴミも増える…。
つまり、「安さ」と引き換えに発生する「手間」や「無駄」を敏感に感じ取っているようです。「長持ちするから交換回数が減る」「最後まで美味しく食べきれる」。こうした「生活の質を落とさないためのお得感」こそが、今の消費者が求めている真のコスパなのかもしれません。
4.うれしい時も悲しい時も。心の支えになる「あの一品」
機能や値段といった理屈を超えて、「なんとなく好き」「これがあると落ち着く」という情緒的な理由で選ばれている商品もあります。こういう商品は、生活の中で特別な役割を果たしているようです。
「サッポロエビスはうれしい時悲しい時いろいろな場面で登場です」(kkさん)
「ナンプラーやラム酒でしょうか。(中略)普段は節約しているし必ずしもなくてもよいものなのですが、あると生活にアクセントが得られて好んで購入しているかもしれません。」(iarukasさん)
「ハッピーターン。あの味は唯一無二なので子供の時から買い続けています」(pipiさん)
「うれしい時悲しい時」という言葉、とても素敵ですね!ただの飲み物ではなく、人生の様々なシーンに寄り添うパートナーのような存在になっています。
また、「普段は節約しているけれど、これだけは別」という、いわゆる「一点豪華主義」的な買い方も見逃せません。節約疲れを癒やすための「小さな贅沢」や「生活のアクセント」。
不況下であっても、こうした「心の栄養」となる商品の需要はなくなりません。「自分へのご褒美に」「いつもの時間をちょっと豊かに」といった提案は、お客様の心に響きやすいのではないでしょうか。
5.ずっと使っている安心感、あの人が勧める信頼感
最後に、長年の実績や、信頼できる情報の力がリピートの入り口になっているケースです。「昔からあるもの」や「誰かが勧めていたもの」には、不思議な説得力があります。
「ニベア 子供の頃から愛用してたり、コスパとか全身に使えるのもあってリピート率が高いです。」(虎ちゃんさん)
「iPhoneですかね。(中略)昔、両親がAndroidを使ってた時期がありましたが、データ移行に時間がかかったようで、iPhoneをすすめたら『もうiPhoneしか使えない』って。」(桃子さん)
「わかめのり。パウチに口とキャップ付きで使いやすい。なぜに見つけたか?と言うと、火野正平さんの自転車旅の中で『これ、うまーい』と連呼していた。調べて購入。」(ひまわりママさん)
長く愛されている商品はそれだけで強力な信頼の証ですよね。ニベアのように子供の頃から使っていたり、家族に勧めたりして、世代を超えて受け継がれていく。これが「定番」の強さです。
一方で、ひまわりママさんのように、好きな有名人の言葉がきっかけで手に取ることもあります。そして実際に使ってみて「あ、使いやすい」と実感し、リピーターになる。
「昔からある安心感」と「信頼できる情報源からの推奨」。この二つは、新しい商品を手に取り、それを生活に定着させるための強力なきっかけになっているようです。
まとめ:小売・販促の現場で活かせる3つのヒント
皆さんの声を聴いていると、消費者は単にモノを買っているのではなく、その先にある「安心」「健康」「効率」「心の満足」を買っていることがよく分かります。
最後に、これらを踏まえて小売業・マーケティング担当者の皆様へ3つの視点を提案します。
1. 「失敗したくない」気持ちに寄り添う
食品や調味料の売り場では、「いつもの味」「変わらないおいしさ」という安心感をPOPなどでしっかり伝えましょう。逆に新商品を提案する際は、試食や小容量パックなどで「失敗時のリスク」を下げてあげることが、最初の一歩を踏み出す鍵になります。
2. 「見えないコスト」を可視化して単価アップ
日用品では、単価の安さだけでなく、「交換の手間が減る」「最後まで無駄なく使える」といったメリットを言語化して伝えましょう。生活者の「名もなき家事」や「プチストレス」を解消できる商品は、多少高くても選ばれるポテンシャルを持っています。
3. 「小さな贅沢」の受け皿を用意する
節約志向のお客様でも、「これだけは譲れない」という商品は必ずあります。お酒やお菓子、調味料などで「日常のアクセント」となるちょっと良い商品を、「自分へのご褒美」として提案するコーナーを作ってみてはいかがでしょうか。
お客様一人ひとりに、その商品を使い続ける「愛着の物語」があります。その物語を想像し、寄り添う提案こそが、長く愛される売り場作りの原点になるはずです。